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事業承継の際、不動産について特に考慮すべきことは

2018年12月28日「金曜日」更新の日記

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先の「W」の事例で、不動産の事業承継に特有の問題について考えてみましょう。少し事例を変えて、経営者のAは、地主から甲土地を賃借し、その上に工場(乙建物)を所有するほか、その場所以外にも工場を所有していたとします(内建物、成建物)。各工場の時価は、乙建物が1億円、内建物および成建物はそれぞれ5000万円だったとします。Aには、他に預金が2000万円程度あります。ここで、Aが特に事業承継の対策をとらないうちに、亡くなってしまったとします。Aとともに工場を取り仕切ってきた子のCは、工場長Eと話し合い、「これから、Aの遺志を継いで工場を大きくしよう!」と意気込んでいたとします。ところが、Cのもとに、長年、音信不通であったAの妻Bから手紙が届きました。Bからの手紙には、「私(B)は、子Dともよく話し合ったのですが、Aの財産は、相続人みんなで公平に分けるのがよいと思います」と書いてありました。「Cにしてみると、Bは工場の経営に携わっていなかったのですから、当然、事業用の不動産(乙建物、内建物、戊建物)はすべて自分が所有する形にしたいと考えていました。この場合、BやDにも相続分があるのですから(配偶者であるBは2分の1、子であるCおよびDは4分の1)、Cは、不動産(工場)を自分に帰属させるのであれば、かわりにBやDに代償金を支払わなければならないはずです。しかし、Aの遺産中に預金は2000万円程度しかなく、また、Cには、遺産分割において、BやDに支払うべき代償金がありません。Cは、親族とのいざこざが長引くことを嫌い、法定相続分に沿うようにメインの工場である乙建物をBに帰属させ、やや小規模な工場である内建物をCに、戊建物をDにそれぞれ相続させ、他方、預金は3人で分割取得する旨の分割案を提案し、B・C・Dの3人で遺産分割協議書を作成しました。

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