自分の「住」「育」「足」のコストの軽減分をほかの投資に
2017年2月18日「土曜日」更新の日記
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- ただでさえ、昨年の年収を今年、あるいは来年も保てるのか、不確実な時代になっています。資産を維持するコストはなるべく軽くしておきましょう。 今や、日本の中で「夫婦＋子供＋住宅ローン」の組み合わせが、もっとも厳しく不利な状況に置かれています。この世帯の資産は大きくいって、家、子供（子供を資産と定義してよいかはわかりませんが）、車でしょう。 「ご主人が最大の不良資産」 とおっしゃる方もいるでしょうが、それはまた別の機会に。 総務省家計調査（平成22年）によれば、住宅ローン返済世帯におけるローン返済額は1992年以降急速に返済額がアップし、その間、これらの世帯の可処分所得が減少したことがダブルパンチともなり、可処分所得に占める住宅ローンの返済額の割合は1990年の13．5％から2010年には20．6％と７．１％も増えています。 資産価値が下がり、可処分所得が下がっているという、先の見通しが暗い時代に年収の35％までの返済額なら大丈夫、と言っている根拠はどこにもありません。 また、同じく総務省全国消費実態調査（平成21年）によれば、２人以上の勤労者世帯第４ステージ（夫婦十子供２人、長子が大学生）の世帯における教育費負担は、世帯の消費支出に占める割合が27．7％にも及んでいます。 車は最近ではダウンサイジングの動きで排気量の小さいエンジンで高性能な車が国内外で人気となっていますが、それでも普通乗用車で新車を購入するとなると、価格はやはり１２０万円から３００万円程度はします。買い替えるまでの年限は、日本自動車販売協会連合会によれば、最近では８年を超えるようになってきたと言われていますが、年あたりに換算しても20万円から40万円程度の負担となります。これに加えて毎年かかる税金や保険料で10万円、ガソリン代は年間5000キロ程度の標準走行で、７万円から８万円程度の負担となります。あわせると40万円から60万円程度にもなってきます。 標準的な家庭で、住宅ローン3000万円、30年返済だと年間の返済額は約１３３万円、教育費は２人私立で年間１５０万円、車の60万円を足すと年問３４３万円もの負担となってきます。40歳から49歳の勤労者世帯の年収が概ね７００万円程度ですから、 この、住宅＝「住」、教育＝「育」、車＝「足」のコストは年収の半分近い大きな負担とな つているのです。 それでは、これだけのお金を投じるのですから、当然にかけた費用に対する見返りをよく吟味しなければなりません。 まず住宅については、今まで述べてきたようにその資産価値は下がる一方です。もし、4000万円のマンションを新築で買っていれば、おそらく新築時の経費分およびその後の不動産価格の値下がり分を考慮して2500万円くらいまでは価値が下がっていくと考えられます。 教育はどうでしょうか。さきほどの「バカ娘」の愚痴話ではありませんが、私立中学から大学まで10年間で2000万円近く、あるいは学部によってはそれ以上のお金をかけて、本当に子供にとって効果のある投資だと言えるのでしょうか。ひょっとすると、子供のためというよりも、「隣のおうちと同じく私立中学に進学した」という、親の見栄の部分も含めた過剰な投資だった可能性もあります。子供にとって、親ががんばって私立中学から大学まで多額の学費を負担してもらったことなど、別に親の勝手であって、そのことが自分の幸せにつながるわけではない、と思っているかもしれない。子供はいつまでも親のおもちやではありません。親の想いや願いとは関係なく、やがて独立して巣立っていく存在です。そのときにそれまでかけてきた教育と言ケ名の莫大な投資が、子供にとって本当に 必要なものであったのか、真剣に考える必要がありそうです。 最後に車です。以前はサラリーマンだと必ずあったのがゴルフ接待です。接待でなくとも社内でのコンペは日常茶飯事で、そのたびに、サラリーマンの多くは「つきあい」で、うまくもないゴルフをするためにゴルフ場に足を運んだものです。そのための足が車でした。 また、郊外二戸建てに住むと、買い物ひとつするのでも車が必要となります。人によっては毎朝の通勤で、近くの駅まで、奥様に車で送り迎えしてもらうための道具。そんな位置づけでした。 接待ゴルフや社内コンペでの鉄則は「分をわきまえろ」ということです。したがって、お取引先の部長よりも、よい車に乗ってはいけない。社内でも部長、課長の順番でよい車に乗るものだ、という鉄則が存在しました。 今はどうでしょうか。接待ゴルフは依然として残るものの、飲酒運転に対する規制が厳しくなったおかげで、電車でゴルフ場に来る機会が増えました。車で来た場合でもゴルフが終了したら、今度はそそくさとみんな帰ってしまうので、お互いの車を気にする必要もなくなりました。そもそも社内の序列を車で見分けるという慣習そのものがなくなってきましたので、あまり気にする必要もありません。 では、みんなが無理して高級車を買うか、といえばむしろ、 「かみさんの足なら普通のプリウスでいいや」 ということになり、部長さんでも平気でプリウスに乗る。外車に乗っている人を見ても、「車が好きなんですね」 程度の反応で、車でステータスを測るということが少なくなりました。 一部の車好きは置いといて、車にかけるお金もそれが自身の見栄やプライドであれば、そのコストに対する効果は、もはや世の中ではあまリ期待できないのかもしれません。 このように今までの発想をさかさまにして、中古マンションを買えば、おそらくローンの負担は半分以下になるでしょうし、教育だって公立で通せば４分の１以下となるでしょう。車に至っては、持つことの必要性をよく考えれば、都会に住む多くの人は、ほとんど必要ない。本当に必要なときにはレンタカーにすればよい。あるいは最近はやりのカーシェアリングでもよいという計算にいきつくはずです。所有コストはちょっとした考え方の変化で劇的に変わってくるのです。 そしてこの所有コストの根源にあるのが、今まで全員が信じていた生活に対する価値観だったのです。生活のあり方、生活の質の見直しによって、価値観そのものが変わる。そのことで驚くほど生活に関わるコストは変わってくるのです。
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